言い訳をしないで自分の気持ちを正直に伝える
学校で、こんなことってありませんか?
図工の時間に使っていた絵の具の筆を、うっかり友達の机から落としてしまいました。「あ、やっちゃった!」と思ったとき、あなたならどうしますか?
「ちがうよ! 勝手にそんな端っこに置いておくからだよ!」
と、思わず口から出てしまったことはありませんか? または、心の中で「だれも見てないよね……」と、知らんぷりをしてしまったり。
まちがえてしまったときや、失敗してしまったとき、素直に「ごめんなさい」と言うのって、すごく勇気がいりますよね。怒られるのがこわいし、自分が悪いと認めるのは、ちょっぴりはずかしい気持ちもわかります。
でもね、心理学の研究によると、人は「失敗したとき」にどうするかで、まわりの人からの信頼(しんらい)を大きくゲットできるかどうかが決まることがわかっています。言い訳をせず、自分の気持ちを正直に伝えて謝ることは、最強の「好かれる魔法」なのです。
今日は、まちがえたときにカッコよく、そして心からすっきりと仲直りできる秘密をいっしょに見ていきましょう!
どうして「言い訳」したくなっちゃうの?
まず、心理学のちょっぴり面白いお話をしますね。
人間には、自分の心を守るための「防衛本能(ぼうえいほんのう)」という力が備わっています。これは、自分が傷つかないように、無意識にブレーキを踏む心の仕組みのことです。
- 「怒られたくない!」
- 「ダメなやつだと思われたくない!」
- 「先生や親にがっかりされたくない!」
こうした気持ちが心の中でパニックを起こすと、脳は「そうだ! 自分のせいじゃないことにすれば、怒られないぞ!」と思いつきます。これが「言い訳」の正体です。つまり、言い訳が出るのは、あなたが「悪い子」だからではなく、心がびっくりして守ろうとしているだけなのです。
でも、考えてみてください。お友達が「だってお前がさあ……」と言い訳ばかりしていたら、あなたはどう思いますか?
「うわ、自分のせいなのに人のせいにしてるな……」と、ちょっぴりさみしい気持ちや、モヤモヤした気持ちになりませんか?
そう、言い訳は、その場のがれにはなっても、お友達との心のきょりを遠ざけてしまうバリアになってしまうのです。
心理学のプロが教える「失敗したときのマジックワード」
では、心理学では「好かれる子」は失敗したとき、どうしているのでしょうか?
心理学には、「自己開示(じこかいじ)」という言葉があります。これは、自分の弱い部分やかっこ悪い部分を隠さずに、素直に見せることです。心理学の実験では、いつも完璧(かんぺき)な人よりも、ときどき失敗して「ごめんなさい、うっかりしてたんだ」と素直に言う人のほうが、周りから好かれやすいという結果が出ています。
なぜなら、素直に謝る姿には「誠実さ(うそをつかないまっすぐな心)」が感じられるからです。
ここで、クラスで使える具体的なステップを見てみましょう。明日からすぐにできる「正直な気持ちの伝え方」の3つのステップです。
ステップ1:まずは言い訳のスイッチをオフにする
失敗したことに気づいたら、心の中で「ストップ!」と唱えましょう。
「だって」「でも」「最初に〇〇が……」という言葉が出そうになったら、ぐっと飲み込みます。これだけで、あなたの「カッコいい大人な一面」が顔を出します。
ステップ2:相手の目を見て「ごめんなさい」を言う
次に、お友達の目を少しだけ見て(どうしても恥ずかしければ、お鼻のあたりでも大丈夫です)、はっきりと「ごめんなさい」と言います。
声が小さくて聞こえなかったり、笑いながら「ごメーン」と言ったりすると、謝っていることが伝わりません。真剣な声で伝えることが、相手の心をホッとさせるポイントです。
ステップ3:自分の気持ちを正直に伝えて、どうするかを言う
ここが一番たいせつなポイントです。言い訳をする代わりに、自分の「今の本当の気持ち」を伝えます。
- 「うっかりしてて、自分でもびっくりしちゃったんだ」
- 「本当はわざとじゃないんだけど、びっくりさせてごめんね」
- 「どうしたら直せるか、いっしょに考えてほしいな」
このように、自分がどうしてそんなことをしてしまったのか(うっかりしていた、あわてていた)という本当の理由を素直に話し、「次からはこうするね」という気持ちを伝えると、相手は「そっか、わざとじゃないんだな」と安心してくれます。
おうちのお手伝いでも使ってみよう!
この魔法は、学校だけでなく、おうちでも大活躍します。
例えば、お母さんに頼まれていた食器洗いをすっかり忘れてテレビを見ていて、「もう、どうしてやってないの!」と怒られてしまったとき。
思わず「だってみんなが見てたから……」とか「あとでやろうと思ったのに!」と言い返したくなるよね。ここでぐっとこらえて、こう言ってみましょう。
「テレビに夢中になっていて、忘れてました。ごめんなさい。今すぐやります!」
どうでしょう? お母さんも、あなたが素直に自分のミスを認めたら、「次は気をつけてね」と、きっとやさしい気持ちになってくれるはずです。
素直な心は、最強のスーパーパワー
人間だれしも、まちがえることはあります。大人だって、毎日たくさんの失敗をしています。
大切なのは、「まちがえないこと」ではありません。「まちがえたときに、どうするか」です。
言い訳をせず、自分の気持ちを正直に伝えて「ごめんなさい」が言える人は、自分の弱さに向き合える、とても強い人です。そして、そんな風に誠実に向き合ってくれる人のことを、まわりの友達は絶対に嫌いになりません。むしろ、「この子は信頼できるな」「正直ですてきだな」と、もっともっと大好きになります。
明日、もし学校でうっかりミスをしてしまったら、今日の魔法を思い出してくださいね。
胸を張って、自分の声で「ごめんなさい、うっかりしていたよ」と伝えられたとき、あなたのまわりには、きっとあたたかい笑顔と、すてきな友情が広がっているはずです。