友だちがテストで良い点を取ったら素直に喜ぶ
キミのとなりの席の友だちが、算数のテストで「100点」を取ったとします。そのとき、キミの心の中には、どんな気持ちがわいてくるでしょうか。
「すごいね!おめでとう!」と、自分のことのようにうれしくなるでしょうか。それとも、「うらやましいな……」「ぼくは90点だったのに……」と、なんだかモヤモヤしたり、すこし悔しくなったりするでしょうか。
実は、友だちの成功を素直に喜ぶことは、クラスのなかで「みんなから大すきと言われる人」になるための、とっても大切な魔法なんです。今日は、友だちが良い点を取ったときに、どうして素直に喜ぶといいのか、そしてどうすれば心の底からお祝いできるのかを、脳の科学のひみつと一緒にお話ししますね。
脳の科学でわかる!友だちを喜ばせると、自分がトクする理由
「人のために喜ぶなんて、なんだかいい子ぶっているみたいで恥ずかしいな」なんて思っていませんか?
でも、人間の脳のつくりを調べると、「友だちの喜びをいっしょに喜ぶこと」は、自分自身の幸せにつながっているということが、科学的にわかっているのです。これを神経科学(しんけいかがく:脳や神経の働きを研究する学問)の世界では、「報酬系(ほうしゅうけい)」という言葉を使って説明できます。
脳は「友だちのよろこび」を「自分のよろこび」とまちがえる
私たちの脳の中には、「やったね!」と嬉しくなったときに、ワクワクするドーパミンという特別な物質を出す場所があります。これが「報酬系」です。
お母さんにほめられたときや、大すきなおやつを食べたときに、「うれしいな!」と感じる、あれですね。
最新の脳の研究で、私たちが「友だちがテストで良い点を取ってよかったね」と心から思ったとき、なんと自分自身がおいしいものを食べたときと同じように、脳の報酬系がピカッと光って、うれしい気持ちになることがわかっています。
つまり、人間の脳は、他人が喜んでいる姿を見ると、「自分もシアワセだ!」と感じるように、もともとプログラミングされているのです。
「うらやましい」の正体は、脳のエラー
それなのに、友だちが良い点を取ったときに「ちょっとずるいな」と思ってしまうのはなぜでしょうか。
それは、脳が「自分と友だちをくらべてしまう」というクセを持っているからです。自分ががんばったのに、友だちのほうが点数が良かったと知ると、脳は一瞬「負けた!」と感じて、不機嫌な信号を出してしまいます。
でも、ここでそのまま「ふん、どうせぐうぜんだよ」と冷たい態度をとってしまうと、脳は「不機嫌なままのいやな時間」をずっと過ごすことになります。もったいないですよね。
だからこそ、「おめでとう!」と言葉に出して、友だちの喜びを自分のものにしてしまうほうが、自分の脳にとっても、すごく気持ちがいいことなのです。
学校生活で実践!「素直に喜ぶ」3つのステップ
頭では「お祝いしたほうがいい」とわかっていても、いざとなると素直な言葉が出てこないこともありますよね。ここからは、明日から学校ですぐに使える具体的な3つのステップを紹介します。
ステップ1:まずは「おめでとう」の形だけでも口に出してみる
テストが配られたあと、友だちの「100点」の赤字が見えたとします。もし心の底から「うれしい!」と思えなくても、まずは形だけでもいいので、言葉に出してみましょう。
- 「100点すごいね!おめでとう!」
- 「満点なんて、がんばっていたもんね!」
こうやって声をかけるだけで十分です。不思議なことに、言葉を先に口に出すと、あとから脳が「あ、自分はいま、友だちをお祝いしたんだな」と気づいて、だんだん本当にうれしい気持ちがわいてきます。
ステップ2:どうやって勉強したのか「質問」してみる
ただ「すごいね」と言うだけではなく、一歩進んで「どうやって勉強したの?」と聞いてみるのも、すごくおすすめの方法です。
係の仕事や掃除のときでも使えます。「ねえねえ、今日の漢字テスト、どうやって覚えたの?教えて!」と聞かれたら、友だちはどんな気持ちになるでしょうか。
「自分の努力をみとめてくれたんだ!」とうれしくなり、キミのことを「自分のことを見ていてくれる、やさしい人だな」と信頼してくれます。これは、お互いのきずなをグッと強くする最高の魔法の質問です。
ステップ3:自分のくやしさは、こっそり次のエネルギーにする
友だちが良い点を取って喜んでいる横で、自分が思ったような点数じゃなくて、涙が出そうになることもあるかもしれません。そんなときは、無理に笑顔をつくらなくても大丈夫です。
友だちの前では「おめでとう!」と笑顔でお祝いしたあと、自分のノートのすみっこに、小さな星マークでも描いておきましょう。
そして、心の中でこうつぶやきます。
「今回はくやしかった!でも、次はぼくもあの点数をめざしてがんばるぞ!」
友だちの成功をうらやましがってイライラするのではなく、「自分もがんばるためのパワー(やる気)」に変えてしまうのです。これができる人は、まわりから見ても本当にかっこいいし、どんどん成長していきます。
「よろこびの連鎖」を起こそう
クラスの中で、だれかがテストで良い点を取ったとき、まわりのみんなが「よかったね!」と笑顔で拍手をしてくれるクラスがあったら、どんなに素敵な学校生活でしょう。
神経科学の研究では、人の機嫌や感情は、まわりの人にもものすごいスピードでうつっていくことがわかっています。これを「感情の伝染(でんせん)」と呼びます。
つまり、キミが今日、となりの子の成功を心から喜んであげると、そのうれしい空気は、教室全体にフワッと広がっていきます。そしていつか、キミが何かをがんばって達成したとき、今度はまわりの友だちが、大きな笑顔でキミをお祝いしてくれます。
「友だちの喜びは、自分の喜び」。
この考え方をちょっとだけ頭において、明日の学校では、友だちのテストの答案用紙に隠されたがんばりを見つけてみましょう。そして、「おめでとう!」の一言をプレゼントしてみてください。きっと、まわりの空気があたたかくなり、キミのまわりにたくさんの笑顔の友だちが集まってきますよ。