貸し借りをするときは必ず「ありがとう」を添える
学校生活は、毎日が「貸し借り」の連続です。消しゴムを貸したり、ノートを見せてもらったり、図工の時間に絵の具を分け合ったり。みなさんも、一日のうちに何度かそんな場面があるはずです。
でも、そのとき「当たり前」になってしまっていませんか? 「貸して」「いいよ」だけで終わらせてしまうのは、実はとてももったいないことなのです。実は、この小さな「貸し借り」こそが、クラスでいちばん好かれる子になるための、最高のチャンスなのです。
なぜ「ありがとう」が魔法になるのか
「ゲーム理論」という言葉を聞いたことはありますか? むずかしそうに聞こえますが、これは「自分と相手がどう行動すれば、お互いに一番いい結果になるか」を考える学問です。
この考え方では、世の中の人間関係を「一度きりの関係」と「何度も続く関係」の二つに分けます。クラスメイトとの関係は、もちろん「何度も続く関係」ですよね。明日も、来週も、卒業までずっと同じ教室で過ごします。
この「何度も続く関係」において、相手から何かをしてもらったときに「ありがとう」と伝えることは、「私はあなたと協力して、いい関係を続けたいと思っています」という大切なサインになります。これを「協力のしるし」と呼びます。
もし、貸し借りのときに何も言わなかったら、相手はこう思うかもしれません。「貸してあげたのに、何も言ってくれないな。次は貸したくないな」。これは、せっかくの友情のチャンスを自分から捨てているのと同じことなんです。
「ありがとう」をレベルアップさせる3つのステップ
ただ「ありがとう」と言うだけでも十分すてきですが、さらに好かれる子になるためには、少しだけ工夫をしてみましょう。明日からすぐに使える「魔法のテクニック」を紹介します。
- 「何に対して」感謝しているか伝える
ただ「ありがとう」と言うのではなく、「消しゴムを貸してくれて、ありがとう! おかげで宿題が終わるよ」と伝えてみてください。具体的に言われると、貸した相手は「役に立ててよかった!」と、とてもうれしい気持ちになります。 - 返却するときに「もう一度」伝える
借りたものを返すときが、一番のチャンスです。「貸してくれてありがとう。すごく助かったよ!」と、返しながらもう一度お礼を言いましょう。借りている間、大切に使っていたことが伝わると、相手はあなたを「信頼できる人」だと感じます。 - 「貸してくれて」を「貸してくれて助かった」に変える
「助かった」という言葉は、相手に「自分は誰かの役に立っているんだ」という自信を与えます。組織社会学という学問では、集団の中で「自分が必要とされている」と感じることは、そのチームを強くすると言われています。あなたが「助かった!」と言うだけで、クラスというチームの絆はグンと深まるのです。
「貸し借り」で敵を作らないための注意点
もちろん、貸し借りはいいことばかりではありません。時にはトラブルになることもありますよね。そんなとき、どうすれば「敵を作らず」にいられるか、考えてみましょう。
もし、友達から何かを貸してほしいと言われたとき、断らなければならない場面もあるはずです。そんなとき、「ダメ!」と冷たく言うのではなく、こう伝えてみてください。
「ごめんね、今使っているから貸せないんだ。終わったら貸してあげるね」
これは「断り」ではなく「提案」です。相手に「今は無理だけど、あとで協力するよ」という姿勢を見せることで、相手も「わかった!」と納得してくれます。これも、ゲーム理論でいう「協力的な態度」の一つです。相手の気持ちを無視せず、誠実に向き合うことが、敵を作らない一番の近道なのです。
「貸し借り」は心のキャッチボール
貸し借りは、ただの物の移動ではありません。それは、「あなたのことを信頼しています」という心のキャッチボールです。
あなたが「ありがとう」と伝えることで、相手は「また貸してあげようかな」と思います。そうすると、次にあなたが困ったときに、相手も喜んで助けてくれるようになります。これが、クラスの中で「助け合いのルール」が自然とできあがっていく仕組みです。
明日、学校に行ったら、誰かの消しゴムを借りたり、プリントを回したりする場面があるはずです。そのとき、少しだけ勇気を出して、目を見て「ありがとう」と言ってみてください。
「ありがとう」という言葉は、言ったあなたも、言われた相手も、どちらも幸せな気分にさせる魔法の言葉です。そんな魔法をたくさん使う子を、周りのみんなが嫌いになるはずがありません。
さあ、明日の学校では、どんな「ありがとう」を届けますか? 小さな貸し借りを大切にするだけで、あなたのクラスはもっともっと居心地のいい場所になるはずですよ。