冗談が通じない相手にはふざけない
クラスには、いろんな友だちがいますよね。休み時間に大笑いしてふざけ合える友だちもいれば、いつも静かで、あまり冗談を言わない友だちもいるはずです。あなたにとって「楽しい冗談」が、相手にとっても「楽しい冗談」だとは限りません。
「えー、そんなのつまんないよ! もっと明るくすればいいのに」と思うかもしれません。でも、実は「相手に合わせて自分を変える」ことこそが、クラスでいちばん好かれる子の「最強の武器」なのです。
「みんな同じ」だと思わないことがスタート
行動学という学問では、人はそれぞれ「心の地図」がちがうと考えます。あなたが「冗談は心の距離をちぢめるもの」という地図を持っているとしたら、相手は「冗談は自分をバカにされていると感じるもの」という地図を持っているかもしれません。
もし、あなたが相手の心の地図を知らずに、いつもの調子でふざけてしまったらどうなるでしょう? 相手は「この人は、わたしの気持ちを大切にしてくれない」と悲しくなってしまいます。これが、トラブルの大きな原因です。
- 「この子は、どんなことが好きかな?」と観察する
- 「これは笑い話になるかな?」と一度だけ立ち止まる
- 相手が笑わなかったら、すぐに「ごめんね」と言ってやめる
「冗談が通じない人」を責めるのではなく、その人の「心の地図」を尊重してあげること。これができると、相手は「この人は、わたしのことをわかってくれる」と、あなたに大きな信頼を寄せるようになります。
「損をしない」ための心のブレーキ
行動経済学という少しむずかしい学問の中に、「損失回避(そんしつかいひ)」という考え方があります。これは、人は「得をすること」よりも「損をすること」を強くきらってしまう、という性質のことです。
例えば、冗談を言って、相手がちょっとだけ笑ってくれる(小さな得)よりも、相手を怒らせてしまい、ずっと仲が悪くなる(大きな損)のほうが、人間にとってはダメージが大きいのです。
つまり、「冗談を言わない」ことは、人間関係の「損」を防ぐための、とてもかしこい作戦なのです。無理に面白いことを言おうとして、相手を傷つけてしまうリスクを負う必要はありません。「ふざけない」という選択は、あなたがクラスで安定した人気者でいるための、賢い守り方なのです。
明日からできる「ふざけすぎない」魔法のレッスン
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。明日から学校でできる、3つのステップを紹介しますね。
- ステップ1:観察する
その友だちは、他の人が冗談を言ったとき、どんな顔をしていますか? 本当に楽しそうに笑っていますか? それとも、少し困った顔をしていますか? 相手の反応をよく見るだけで、その人が「冗談が得意なタイプか」がわかります。 - ステップ2:まずは「あいさつ」や「質問」から
ふざける前に、まずは「おはよう!」「昨日の宿題、難しかったね」といった、ふつうの会話を積み重ねましょう。信頼関係がしっかりできていれば、冗談を言わなくても、あなたはすでに好かれています。 - ステップ3:自分から「冗談」を言わない勇気を持つ
もし、相手が冗談を言って笑わせてくれたら、そのときは思いきり笑いましょう。でも、自分からは無理に言わなくて大丈夫です。「この人は、ふざけて笑わせるよりも、話をしっかり聞いてくれる人だ」と思われたほうが、実は好感度はグンと上がります。
「面白いこと」を言わなくても、人は集まってくる
クラスでいちばん好かれる子は、必ずしも「クラスでいちばん面白い子」ではありません。むしろ、「この人といると、変に気を使わなくていいから安心する」と思われている子のほうが、ずっと多くの友だちに囲まれています。
冗談が通じない相手に、無理に冗談を言わない。それは「つまらない人になる」ということではありません。「相手の安心を守る、やさしい人になる」ということです。
明日の学校で、もし冗談を言いたくなったら、心の中でこうつぶやいてみてください。「この冗談は、相手も笑ってくれるかな? それとも、相手を困らせてしまうかな?」
その一瞬の「立ち止まり」が、あなたをトラブルから守り、クラスでいちばん信頼される人へと育ててくれます。面白いことを言って一瞬の笑いを取るよりも、相手を大切にすることで一生の信頼を築くほうが、ずっとずっと素敵だと思いませんか?
さあ、明日からは「無理にふざけない自分」を試してみてください。きっと、今までよりもっと、友だちとの距離が心地よく感じられるはずですよ。