謝るときは言い訳をせず素直に謝る
学校で、こんな場面はありませんか?
図工の時間に、となりの席の友だちの絵の具セットにぶつかって、机を汚してしまったとき。あるいは、係の仕事で、自分がやるはずだったプリント配りをうっかり忘れてしまったとき。
そんなとき、つい心の中で「だって、だれかが話しかけてきたから……」「本当はやるつもりだったんだけど、急にトイレに行きたくなって……」なんて、言い訳を探していませんか?
実は、言い訳をすればするほど、あなたのまわりから「味方」が減っていきます。逆に、「ごめんね、ぼくがわるかったよ」とひとこと素直に言えるだけで、クラスのみんなは、あなたのことをもっと信頼してくれるようになるのです。
なぜ「言い訳」は、あなたを損させるのか?
「でも、本当のことを言わないと、自分がわるい人だと思われそうで怖い!」と思いますよね。その気持ち、よくわかります。でも、ちょっと想像してみてください。
友だちが何か失敗をしたとき、その子が「だって」「でも」と言い訳ばかりしていたら、あなたはどう感じますか? 「あ、この子は自分の失敗を認めないんだな」「また同じことをしそうだな」と、少し冷めた気持ちになりませんか?
これは、大人も子どもも同じです。社会学の考え方では、これを「信頼の貯金」と呼びます。私たちは、毎日少しずつ、まわりの人たちとのあいだに「この人は信用できるかな?」という信頼の貯金を積み立てています。
言い訳をするということは、この大切な貯金を「ガチャガチャッ!」と壊して、中身をぜんぶ捨ててしまうようなものなのです。
「ゲーム」に勝つための、一番かしこい戦い方
少しむずかしい話をしますが、「ゲーム理論」という言葉を聞いたことはありますか? これは、相手とどうやって付き合えば、お互いに一番いい結果を出せるかを考える学問です。
この理論では、「裏切らない人」や「失敗をすぐに認めて直す人」のほうが、長い目で見たときに、一番トクをするということが証明されています。
- 言い訳をする:一時的には「自分はわるくない」と言えるかもしれないけれど、まわりからの信用がなくなる。
- 素直に謝る:その場は少し恥ずかしいけれど、「この子は誠実な人だ」とみんなが認めてくれる。
長い学校生活という「ゲーム」の中で、一番たくさんの味方を作れるのは、どちらの人でしょうか? 言うまでもなく、素直に謝れる人ですよね。
明日からできる「魔法の謝り方」3ステップ
では、どうすれば「言い訳なし」で、かっこよく謝れるようになるのでしょうか。コツは、この3つのステップです。
ステップ1:まずは「ごめんね」だけで止める
失敗した直後、頭の中には言い訳があふれてくるはずです。「だって」と言いそうになったら、口をギュッと閉じて、まずは「ごめんね」とだけ言ってみましょう。理由はあとでいいのです。まずは、相手の気持ちを大事にすることが、信頼への第一歩です。
ステップ2:相手の気持ちを想像する
「ごめんね。ぼくがぶつかったから、せっかくの絵がよごれちゃったね。悲しい思いをさせてごめん」と、相手がどう感じたかを言葉にしてみてください。これを「共感(きょうかん)」といいます。相手は「ああ、この子はぼくの気持ちをわかってくれているんだ」と安心します。
ステップ3:どうすればいいか、自分から提案する
「次はどうすればいいかな?」と自分から言ってみましょう。「雑巾(ぞうきん)を持ってくるね」「次は気をつけるから、もう一度チャンスをくれる?」と、解決策を自分で出すのです。これができると、まわりのみんなは「この子は失敗しても、自分で考えて直せる頼もしい人だ」と、あなたをチームのリーダーとして見るようになります。
「失敗」は、味方を増やすチャンス!
勘違いしないでほしいのは、「失敗しないことがえらい」わけではないということです。人間だれでも失敗します。大事なのは、「失敗したあとに、どんな態度をとるか」です。
言い訳をしない人には、みんなが「次はがんばろうね!」と声をかけてくれます。でも、言い訳ばかりする人には、だれも声をかけなくなります。どちらが、学校生活を楽しく過ごせるでしょうか?
明日、もし何か失敗をしてしまったら、チャンスだと思ってください。心の中で「言い訳したい!」という気持ちをグッとこらえて、まっすぐに相手の目を見て「ごめんね」と言ってみましょう。
そのひとことで、あなたのまわりには、昨日よりもずっとたくさんの「味方」が集まってくるはずです。さあ、明日の学校で、一番かっこいい「謝り方」を試してみませんか?