苦手なことにも一度だけ挑戦する
「あーあ、また体育でドッジボールか。ぼく、投げるのが苦手だから、外野でずっと立っているだけなんだよな……」
そんなふうに思ったことはありませんか? 苦手なことや、ちょっと怖いなと思うことにぶつかると、心の中に「やりたくないな」「どうせ失敗するよ」という声が聞こえてくるものです。でも、その心の声に従っていつも逃げてばかりいると、実は「自分は何もできない」という思い込みがどんどん強くなってしまいます。
自分をもっと好きになるために、そしてクラスで「いつも前向きでかっこいい人」と思ってもらうために、今日からできる魔法のルールを教えます。それは、「苦手なことにも、一度だけ挑戦する」という習慣です。
脳は「やったことがないこと」が大好き!
なぜ、苦手なことに挑戦するのが大切なのでしょうか。実はこれ、脳科学でしっかり理由が証明されています。私たちの脳には「新しい刺激」を求める性質があります。いつもと同じことをしていると脳は退屈してしまいますが、勇気を出して新しい行動をすると、脳の中では「ドーパミン」というワクワクする物質が出るのです。
心理学では、これを「自己効力感(じここうりょくかん)」と呼びます。「自分にはできる!」という自信のことですね。この自信は、難しいテストで100点を取ったときよりも、「苦手だったけど、一度だけやってみたら意外とできた!」という小さな成功体験の積み重ねで、ぐんぐん育っていくことがわかっています。
「一度だけ」なら、失敗しても大丈夫
「一度だけ挑戦する」のいいところは、結果を気にしなくていいところです。最初から「完璧にやろう」「一番になろう」と思うと、プレッシャーで体が硬くなってしまいますよね。でも、「一度だけやってみる」というルールなら、たとえ失敗しても「よし、約束通り一度は挑戦したぞ! ミッション完了!」と自分をほめてあげることができます。
次のような場面で、ぜひ試してみてください。
- 係活動の発表:人前で話すのが苦手なら、最初のあいさつだけ、大きな声で言ってみる。
- 苦手な食べ物:給食でどうしても苦手な野菜があっても、ひと口だけ食べてみる。
- 新しい遊び:いつもドッジボールで逃げているなら、一度だけボールをキャッチしようと手を伸ばしてみる。
- 宿題の難しい問題:「わからない」とすぐにあきらめず、教科書の例題を一度だけ書き写してみる。
「挑戦の記録」をつけてみよう
「一度だけ挑戦する」ことができたら、ぜひノートのすみっこに小さな星マーク(☆)を書いてみてください。これは、あなたが自分自身に勝った証(あかし)です。誰かに見せる必要はありません。自分だけが知っている「かっこいい自分」の記録です。
心理学では、自分の行動を記録することを「セルフモニタリング」と言います。自分の頑張りを自分で見つけることで、脳は「自分は前に進んでいる!」と強く認識し、次の挑戦がもっと簡単になるように準備をしてくれます。
「一度」が「二度」に変わる瞬間
不思議なことに、「一度だけ」と決めて挑戦すると、二度目へのハードルが劇的に下がります。なぜなら、脳が「一度やったことがあること」として認識するからです。脳にとって「未知(やったことのないこと)」は怖いものですが、「既知(やったことがあること)」は安全なものになります。
最初は「一度だけ」のつもりだったことが、気づけば「あれ、もう一回やってみようかな?」と自然に思えるようになっているはずです。このとき、あなたの心の中では大きな変化が起きています。苦手だったことが「自分の味方」に変わり始めているのです。
今日から始める「勇気のルール」
明日、学校に行ったら、まずは一つだけでいいので「苦手だな」と思っていることに向き合ってみてください。どんなに小さくてもかまいません。
たとえば、こんなふうに考えてみましょう。
- 失敗したら? → 「一度やったから、もう前より上手になっているはず!」
- 恥ずかしかったら? → 「挑戦した自分は、さっきまでの自分より一歩進んでいる!」
- 誰かに何か言われたら? → 「挑戦した人にしかわからないことがあるんだよね」
自分を好きになるための近道は、遠くの大きな目標を目指すことではありません。目の前にある「ちょっと嫌だな」という小さな壁を、ひょいっと一度だけ乗り越えてみることです。その積み重ねが、いつのまにかあなたを「何でも前向きに取り組む、クラスの人気者」へと変えてくれるはずですよ。
さあ、明日、あなたはどんな「一度だけの挑戦」をしますか? ぜひ、ワクワクしながら考えてみてくださいね。