自分の感情を言葉にして書き出す
学校で、こんなことはありませんか?
- 係の仕事で、友達と意見がちがってイライラした。
- 宿題をわすれて、先生におこられるかもとドキドキした。
- 休み時間に、みんなの会話に入れなくて、なんとなくモヤモヤした。
そんなとき、その気持ちをそのまま胸の中にしまっていませんか? 実は、その「モヤモヤ」や「イライラ」を、そのままにしておくのは、脳にとってとても疲れやすい状態なんです。脳科学の世界では、心の中にある気持ちを「言葉」にして外に出すだけで、脳の興奮がおさまり、心がすっと軽くなることがわかっています。
これを「エクスプレッシブ・ライティング(感情を書き出すこと)」と呼びます。今日は、君の脳を「敵を作らない、おだやかな状態」にするための、魔法のノート術を教えますね。
脳の「ブレーキ」をかける魔法のコツ
私たちの脳の中には、感情をコントロールする「司令塔」のような場所があります。でも、イライラしたり悲しくなったりすると、この司令塔がうまく働かなくなってしまいます。車のブレーキが効かなくなるようなものです。
そんなとき、ノートに自分の気持ちを書き出すと、脳は「あ、これは言葉にできることなんだ」と安心します。言葉にするということは、バラバラだった感情を整理すること。整理されると、脳は「もう大丈夫だ」と判断して、冷静さを取りもどすことができるのです。
「感情ノート」の書き方、3つのルール
さあ、今日から「感情ノート」を始めてみましょう。ルールはたったの3つだけです。
- ルール1:だれにも見せないこと
このノートは、君だけの秘密基地です。先生にも、おうちの人にも、親友にも見せなくていいんです。だから、かっこいい言葉なんていりません。「うわー!」「ムカつく!」「悲しい!」と、正直な気持ちをそのまま書いてください。 - ルール2:時間を決めて書くこと
夜、寝る前の5分間でかまいません。その日にあった「心が動いたこと」を思い出してみましょう。 - ルール3:理由まで書けたら100点!
ただ「イライラした」だけでなく、「どうしてイライラしたのか」まで書けると最高です。「係の仕事を一人でがんばっていたのに、だれも手伝ってくれなくて悲しかった」というふうに書くと、脳は「何が原因だったのか」を客観的に見ることができます。
「敵」を作るまえに、自分の心を守ろう
なぜ、この習慣が「敵を作らない」ことにつながるのでしょうか? それは、イライラを外に出す相手を「友達」ではなく「ノート」にしているからです。
もし、イライラした気持ちをそのまま友達にぶつけてしまったら、どうなるでしょう。「なんでそんなこと言うの?」と、相手もイヤな気持ちになり、そこに新しい「敵」が生まれてしまいます。でも、ノートに書き出して自分の気持ちを整理できていれば、友達と話すときには「さっきは手伝ってほしくて悲しかったんだ。次は一緒にやってくれないかな?」と、落ち着いてお願いできるようになります。
これこそが、賢い人のコミュニケーション術です。
こんなふうに書いてみよう!
書き方に迷ったら、こんなふうに書き出してみてください。
- 今日、一番「ドキドキ」したことは?
- 今日、一番「ホッとした」ことは?
- 今日、もし時間を巻きもどせるなら、何を変えたい?
例えば、こんな感じです。
「今日、給食の時間に〇〇くんがぼくの机をゆらした。すごくびっくりしたし、牛乳がこぼれそうで怖かった。ぼくは『やめてよ!』と大声で言ってしまった。〇〇くんは笑っていたけど、ぼくはすごく嫌だった。本当は『やめてほしい』と静かに言いたかったな」
こうして書いてみると、自分の心の中にある「本当の願い」が見えてきますよね。「大声を出したこと」を後悔するのではなく、「次はこう伝えよう」という作戦が立てられるようになります。
脳を「味方」につけるトレーニング
脳科学の実験では、自分の感情を言葉にして書き出すことを続けると、ストレスに強くなり、集中力も上がることがわかっています。毎日、自分の心と向き合っている人は、それだけで「自分を大切にする力」が育っているのです。
自分を大切にできる人は、まわりの人にもやさしくなれます。心に余裕があるから、友達のちょっとしたミスも許せるようになるし、相手の気持ちを想像する力も強くなります。それが結果として、「あの人はいつも落ち着いていて、一緒にいると安心する」という評判につながり、自然と敵が消えていくのです。
明日、学校でいやなことがあったら、すぐに言い返したり、我慢して黙り込んだりしないでください。まずは、心の中に「ノートに書くこと」をメモしておきましょう。そして、夜にゆっくりと書き出してみてください。
君の脳は、君が思っているよりもずっとかしこくて、やさしい力を持っています。その力を引き出すのは、君自身が自分の気持ちを「言葉」にしてあげること。さあ、今日から自分だけの「魔法のノート」を始めてみませんか?