自分の意見を言ったあとに、相手の意見を聞く魔法
「ねえ、今日の休み時間はドッジボールをしようよ!」
あなたは友達にこう言ったあと、すぐに「いいよね? そうしよう!」と決めてしまっていませんか? もしそうなら、ちょっとだけもったいないことをしているかもしれません。
実は、クラスで「この人といると楽しいな」「また一緒に遊びたいな」とみんなから思われる人には、ある共通する「話し方のルール」があります。それは、自分の意見を伝えたあと、必ず相手の意見を聞くというシンプルな習慣です。
なぜ「自分の意見」だけではダメなのか?
行動学の世界では、人間には「自分の考えを認めてほしい」という強い気持ちがあることがわかっています。これを「自己重要感(じこじゅうようかん)」といいます。簡単にいうと、「自分という人間を大切に扱ってほしい」という心の欲求です。
もしあなたが自分の意見ばかりを押し通してしまうと、相手は「私の意見は聞いてもらえないんだ」「この人は私のことを大切にしていないんだな」と感じてしまいます。これでは、せっかくあなたがリーダーシップを発揮しても、周りの人は少しずつ離れていってしまうのです。
逆に、自分の意見を言ったあとに「〇〇ちゃんはどう思う?」と相手にボールを渡すと、相手は「私のことを考えてくれているんだ!」と嬉しくなります。この「嬉しさ」が積み重なると、あなたの周りには自然と「あなたの味方」が増えていくのです。
「意見のキャッチボール」を成功させる3つのステップ
では、明日からすぐに使える「意見のキャッチボール」のやり方を覚えましょう。ポイントは、ただ聞くだけではなく、相手が話しやすいように「魔法の言葉」を添えることです。
- ステップ1:自分の考えを短く伝える
「私は、次の図工の時間、粘土で動物を作りたいなと思っているんだけど」と、まずは自分の意見をハッキリ伝えます。 - ステップ2:相手に「パス」を出す
「〇〇ちゃんは、何を作りたい?」と、相手に質問を投げかけます。 - ステップ3:相手の意見を「受け止める」
相手が答えてくれたら、「へえ、お城を作るの? それも楽しそうだね!」と、まずは相手の意見を肯定します。
これだけで、相手は「この人は私の意見を尊重してくれる、いい人だ!」と強く感じるようになります。これが、無意識に味方を増やす一番の近道です。
「意見を聞く」ことが、チャンスを引き寄せる理由
行動経済学には「返報性(へんぽうせい)の原理」という面白い考え方があります。これは、「何かをしてもらうと、お返しをしたくなる」という人間の心の仕組みのことです。
あなたが相手の意見を丁寧に聞くと、相手の心の中には「この人に優しくしてもらったから、私も何かお返しをしたいな」という気持ちが生まれます。すると、こんな素敵なことが起こり始めます。
- あなたが困っているとき、真っ先に助けてくれるようになる。
- あなたが新しい遊びやアイディアを提案したとき、積極的に賛成してくれるようになる。
- 「〇〇ちゃんと一緒に係の仕事がしたい!」と、みんながあなたを指名するようになる。
つまり、相手の意見を聞くことは、相手を喜ばせるだけでなく、将来の自分を助けてくれる「味方」を貯金しているのと同じなのです。
明日から学校で試してみよう!「魔法のフレーズ」集
いきなり意見を聞くのが恥ずかしいときは、こんな言葉から始めてみてください。どれも、相手を尊重する魔法の言葉です。
- 「私はこう思うんだけど、〇〇くんはどうかな?」
- 「もっといいアイディアがあったら教えてほしいな」
- 「今の話、どう思った?」
- 「みんなの意見も聞きたいな!」
大切なのは、相手が何を答えても「なるほどね!」「面白いね!」と、まずは受け止めてあげることです。たとえ自分と違う意見だったとしても、否定してはいけません。「そういう考え方もあるんだね」と認めるだけで、相手との距離はグッと縮まります。
クラスでいちばん好かれる人は、決して「自分の意見が正しい」と主張する人ではありません。「みんなの意見を大切にできる人」こそが、みんなから愛され、たくさんの味方に囲まれるのです。
明日の学校で、ぜひ一度試してみてください。あなたが相手の意見を聞いたとき、相手の表情がパッと明るくなるはずです。その瞬間、あなたと相手の間には、新しい「友情の絆」が生まれます。さあ、明日は誰にどんな質問をしてみましょうか?