「自分は正しい!」と思ったときこそ、立ち止まるチャンス
クラスで過ごしていると、「どうしてあの子は、あんなことをするんだろう?」とイライラすることがありますよね。
たとえば、係の仕事で「ポスターはもっと色をたくさん使ったほうが目立つよ!」とあなたが言ったのに、相手は「シンプルに黒一色がいい」と言い張る。そんなとき、「せっかくアドバイスしてあげたのに、なんでわかってくれないの!」と、自分の考えを相手に押し付けたくなったことはありませんか?
実は、これが「敵」を作ってしまう一番のきっかけなんです。
なぜ、自分の「正解」を相手に押し付けてしまうのか?
行動学の世界には、「確証バイアス(かくしょうばいあす)」という言葉があります。これは、人間には「自分の考えが正しい」と信じたい気持ちが強すぎて、自分と違う意見を「まちがっている!」と決めつけてしまう心のクセのことです。
みんな、それぞれ「自分の世界」を持っています。
* 「宿題は先に終わらせるのが当たり前」という子
* 「好きなことは最後に取っておくのが楽しい」という子
* 「ノートはきれいに書くのが大事」という子
* 「中身がわかれば字は汚くてもいい」という子
どれも、その子にとっては「正解」です。でも、自分の正解と相手の正解がぶつかったとき、私たちはつい「相手を自分と同じ考えに変えよう」としてしまいます。これが、トラブルの始まりです。
「自分と相手はちがう」という魔法のスイッチ
相手を無理やり変えようとするのは、たとえるなら「リンゴが好きな人に、無理やりメロンを食べさせる」ようなものです。どれだけ「メロンはおいしいよ! 健康にもいいんだよ!」と説明しても、リンゴが好きな人は「いや、ぼくはリンゴがいい!」と意地になってしまいますよね。
行動経済学では、人は「自分で選んだこと」には満足しますが、「誰かに強制されたこと」には強く反発する性質があると言われています。つまり、あなたがどんなに正しいことを言っても、相手が「押し付けられた」と感じた瞬間に、あなたの意見は「聞きたくない言葉」に変わってしまうのです。
明日からできる「押し付けない」ための3つの習慣
では、どうすれば「自分の考え」を大切にしながら、友達とも仲良くできるのでしょうか。明日から学校で試せる、3つの魔法を紹介します。
1. 「ぼくはこう思うけど、君はどう?」と聞く
自分の考えを伝えるときに、最後にこの言葉を付け足してみてください。
「ぼくは色をたくさん使ったほうがいいと思うけど、君はどう思う?」
これだけで、相手は「命令された」のではなく「意見を聞かれた」と感じます。相手の考えを聞く余裕を持つだけで、不思議と相手もあなたの意見に耳を傾けてくれるようになります。
2. 相手の「なぜ?」を想像する
相手が自分と違う行動をしているとき、心の中でこうつぶやいてみてください。
「どうしてそのやり方が好きなのかな?」
黒一色のポスターがいい理由が、「かっこいいから」なのかもしれないし、「文字を見やすくしたいから」なのかもしれません。相手の「なぜ?」を知ろうとすると、イライラが「なるほど、そういう考えもあるのか!」という興味に変わります。
3. 「ちがうこと」を楽しんでみる
クラスは、いろんな考えが集まる場所です。もし全員が同じ考えだったら、ポスターも全部同じになって、つまらないですよね。
「ぼくとはちがう考えを持っているなんて、おもしろいな!」
こう思えたら、あなたはもう「敵」を作らない達人です。ちがう考えを持つ友達は、あなたの世界を広げてくれる「新しい発見のヒント」をくれる人なのです。
「正しさ」よりも「仲の良さ」をえらぶ
最後に、大切なことをお伝えします。
学校で一番大切なのは、「どちらが正しいか」を証明することではありません。「お互いに気持ちよく過ごせること」です。
もし、どうしても意見が合わないときは、「今回は君のやり方でやってみよう。次はぼくのやり方も試してみない?」と提案してみてください。相手を尊重したあなたには、きっと相手も信頼を寄せてくれるはずです。
「自分は自分、相手は相手」。
この心の距離感を持つだけで、あなたの周りからは敵がいなくなり、代わりにたくさんの「ちがう考えを持つ仲間」が集まってくるようになりますよ。
明日の休み時間、友達が自分とちがうことをしていても、まずは「お、ちがうことをしているな!」と心の中でつぶやいて、ニコッと笑ってみてください。それだけで、あなたのクラス生活は、もっともっと楽しくなるはずです。