相手の得意なことを認めて頼る
クラスの係活動や、グループでの発表準備。あなたはこんなふうに思ったことはありませんか?「自分ひとりでやったほうが早いし、失敗しないから安心だな」と。でも、もしあなたが「みんなをまとめるリーダー」になりたいなら、その考え方はちょっとだけ変えてみましょう。実は、「自分ひとりで頑張る」よりも「相手の得意なことを認めて頼る」ほうが、クラスのみんなはあなたを大好きになるのです。
これは、大人たちの世界でもとても大切にされている「リーダーシップ」の秘密です。なぜ、頼ることが「好感度」につながるのか。その理由を、一緒に探っていきましょう。
「頼られる」と、人はうれしい
想像してみてください。あなたは図工がとても得意だとします。ある日、クラスの友達がやってきてこう言いました。「ねえ、今度の学級新聞のイラスト、すごく上手だよね。君にお願いしたいんだけど、描いてくれないかな?」
どうでしょう。きっと「自分のことを見ていてくれたんだ!」とうれしくなりますよね。そして、「この子のために頑張ろう!」という気持ちになりませんか?
心理学や社会の仕組みを研究する学問では、これを「自己肯定感(じここうていかん)のスイッチ」と呼びます。人は誰でも「自分は誰かの役に立つ存在なんだ」と感じたいと思っています。あなたが友達の得意なことを見つけて「お願い!」と頼ることは、相手の心の中に「僕(私)ってすごいんだ!」という自信のスイッチをポチッと押してあげることなのです。
「みんなで協力する」ほうが、結果も最高になる
「自分ひとりでやったほうが早い」というのは、実は少しだけもったいない考え方です。これを「行動経済学」という難しい言葉でいうと、「サンクコスト(無駄な努力)にとらわれている」状態かもしれません。
たとえば、計算が苦手な人が一生懸命に計算ドリルを解くよりも、計算が得意な友達に「お願い!」と頼んで、自分は得意な「絵を描くこと」に集中したほうが、全体で見るとずっと早く、ずっと素晴らしい作品ができあがりますよね。
みんなの得意なことを持ち寄るチームは、一人で頑張るチームよりも、ずっと大きな力を発揮します。これを「相乗効果(そうじょうこうか)」といいます。「1+1」が「2」ではなく「3」にも「4」にもなる魔法です。あなたがみんなを頼ることで、クラスの活動はもっと楽しく、もっとかっこいいものに変わっていくのです。
明日からできる「頼り上手」のテクニック
とはいえ、「頼る」というのは少し勇気がいりますよね。「迷惑じゃないかな?」と心配になるかもしれません。そんなときは、次のステップを試してみてください。
- まずは「観察」から始める
クラスのみんなが、どんなときにニコニコしているか見てみましょう。字がきれいな子、面白いお話ができる子、足が速い子、片付けが丁寧な子。みんなそれぞれ、キラリと光る「得意なこと」を持っています。 - 「具体的に」ほめる
ただ「すごいね」と言うのではなく、「君の書く字は、読みやすくて大好きだよ」と、どこがどうすごいのかを伝えてみてください。これが「認める」ということです。 - 「お願い」を言葉にする
「君の得意な字で、このポスターを書いてくれない? 君に書いてもらうと、みんなが喜ぶと思うんだ」と伝えてみましょう。ポイントは「君だからお願いしたい」という気持ちを伝えることです。
「頼る」ことは、相手を信頼するということ
人に頼ることは、決して「自分ができないから」ではありません。「君のことを信頼しているよ」という最大のメッセージです。「この人は僕の得意なことを知っていてくれる」「この人は僕の力を信じてくれている」。そう感じたとき、友達はあなたのことを「最高のリーダーだ!」と心から信頼するようになります。
リーダーとは、みんなの上に立って命令する人ではありません。みんなの「得意」という宝物を見つけて、それをパズルのように組み合わせて、ひとつの大きな絵を完成させる人です。
明日、学校に行ったら、まずは友達の「いいところ」をひとつだけ見つけてみてください。そして、勇気を出して「これ、お願いしてもいい?」と声をかけてみましょう。あなたのその一言が、クラスの空気をガラリと変える「魔法」になるはずです。
さあ、明日はどんな「お願い」をしてみますか? 頼ることは、みんなと仲よくなるための、とびきり素敵な作戦なのです。