自分の心のサインに正直になる
クラスのみんなと仲良くすることは、とてもすてきなことです。でも、ときどき「本当はやりたくないのに、みんながそうするから合わせなきゃ……」と、胸がギュッとなることはありませんか?
実は、みんなと仲良くすることと、自分を大切にすることは、どちらかひとつを選ぶことではありません。「自分を大切にできる人だけが、本当にいい人間関係をつくれる」というルールがあるのです。
今日は、自分の心のサインを大切にするための「魔法の考え方」をお伝えします。
「みんなと同じ」が正しいとはかぎらない
学校では、「みんなと同じ行動をとる」ことが正しいとされることがよくあります。これは、組織社会学(そしきしゃかいがく)という学問の世界でも、集団がスムーズに動くためのひとつの方法として認められています。
しかし、統計学(とうけいがく)の考え方では、「平均的な意見」と「あなたの本当の気持ち」は別ものだと考えます。クラス全員が「この遊びをしよう!」と言ったとき、もしあなたが「それはちょっとイヤだな」と思ったら、その「イヤだな」という気持ちこそが、統計にはあらわれない、あなただけの「大切なデータ」なのです。
もし、自分の気持ちを無視して「みんなと同じ」をやり続けると、どうなるでしょうか。心の中には「ガマンのつみき」がどんどん積み上がっていきます。そして、いつかそのつみきが崩れたとき、あなたは自分だけでなく、友達に対してもイライラをぶつけてしまうかもしれません。
「心のサイン」を見つける練習
自分の心は、言葉よりも先に「体のサイン」で教えてくれます。こんなとき、あなたの体はどうなっていますか?
- 係活動で、やりたくない仕事を押しつけられたとき、肩に力が入っていませんか?
- 休み時間に本当は読書がしたいのに、無理してドッジボールに誘われたとき、おなかが少し重く感じませんか?
- 友達の悪口大会が始まったとき、その場から早く逃げ出したいと思いませんか?
これらはすべて、あなたの心が「今の場所は、あなたらしくないよ!」と教えてくれているサインです。このサインを「気のせいだ」と無視しないでください。まずは、「あ、今わたしはイヤだと思っているんだな」と、自分自身で気づいてあげるだけでいいのです。
「敵を作らない」ための「やんわり断り術」
自分の気持ちに正直になるといっても、わがままに振る舞うのとは違います。大切なのは、「相手を否定せずに、自分の気持ちを伝える」という技術です。
例えば、友達から「今日、宿題を全部写させてよ」と言われたとします。本当はダメだと分かっているのに、断ったら嫌われるかも……と不安になりますよね。そんなときは、こう言ってみましょう。
- 「ごめんね!宿題を写させると、あとで先生に怒られたときに二人とも困っちゃうから、それはできないんだ。」
- 「一緒に考え方を確認することならできるよ。どこが分からないの?」
ポイントは、「あなたのことは大切だけど、そのお願いは聞けない」という姿勢を見せることです。これを組織社会学では「境界線(きょうかいせん)を引く」といいます。自分と相手の間に、見えない線を引くイメージです。この線があるからこそ、お互いに気持ちよく付き合えるのです。
「いい人」をやめると、本当の友達が見えてくる
「みんなに好かれよう」として、自分の気持ちを隠してばかりいると、周りには「なんでも言うことを聞いてくれる人」ばかりが集まってきます。でも、それは本当にあなたが望んでいる関係でしょうか?
統計学的に見ても、ひとつの集団の中には、あなたと「価値観(大切にしていること)」が似ている人が必ず数人はいます。あなたが正直に「わたしはこう思うよ」と伝えたとき、離れていく人は、そもそもあなたとは合わない人だっただけです。逆に、あなたの意見を聞いて「それもいいね!」と言ってくれる人こそが、一生付き合える大切な友達なのです。
今日からできる「自分を守る」3つのステップ
明日、学校でさっそく試してみてください。無理をする必要はありません。小さな一歩から始めましょう。
- 「今の気分は?」と自分に聞く
朝、学校に着いたときや、休み時間に「今、わたしは楽しいかな?それともちょっと疲れているかな?」と、自分の心に聞いてみてください。 - 「心のサイン」を認める
もし「疲れているな」と思ったら、「そうか、今は無理しなくていいんだ」と自分に許可を出してあげてください。 - 小さな「NO」を言ってみる
「それ、ちょっとやりたくないな」という言葉を、まずは仲の良い友達に、小さなことから伝えてみましょう。「今日はお外じゃなくて、教室で本を読みたい気分なんだ」といった、簡単なことで大丈夫です。
自分を大切にする人は、周りの人のことも大切にできます。あなたが自分の心に正直になると、不思議なことに、周りのみんなも「この人は自分の意見を持っている人なんだ」と敬意を払うようになります。
敵を作らないために一番大切なのは、誰かに合わせることではありません。「自分をいちばんの味方にしてあげること」です。今日から、自分の心のサインに耳をすませてみてください。あなたは、あなたのままで、十分にステキなのですから。