自分がされて嬉しいことを人にしてあげる
クラスを見わたすと、いつも誰かに囲まれている人がいませんか? その人は、特別な魔法を使っているわけではありません。実は、世界中の人が昔から大切にしてきた、ある「心のルール」を自然に使っているだけなのです。
そのルールとは、とってもシンプル。「自分がされて嬉しいことを、人にしてあげる」ということです。
「えっ、そんなこと?」と思うかもしれませんね。でも、これこそが、あなたの周りに自然と味方を増やし、ずっと愛され続けるための最強の魔法なのです。
「お返し」をしたくなるのは、人間の本能です
なぜ、自分がされて嬉しいことを相手にすると、味方が増えるのでしょうか。これには、昔から人間が持っている不思議な力学が関係しています。
大昔、人間は一人では生きていけませんでした。だからこそ、誰かが何かをしてくれたら「お返しをしなきゃ!」と強く感じる心が発達したのです。これを学問の世界では「返報性(へんぽうせい)の原理」と呼びます。「何かをもらったら、お返しをしたい」という気持ちは、人間がみんな持っている、いわば「心のプログラム」のようなものなのです。
例えば、あなたが休み時間に友達に消しゴムを貸してあげたとします。すると、その友達は「借りっぱなしは悪いな、何かお返しをしたいな」と無意識に思うはずです。これが積み重なると、相手はあなたのことを「困ったときに助けてくれる大切な人」だと感じるようになります。
「自分がされて嬉しいこと」を見つけるヒント
では、具体的にどんなことをすればいいのでしょうか。まずは、あなたが「これをされたら、すごく嬉しい!」と思うことをリストアップしてみましょう。まずは、こんなことから始めてみてください。
- 名前を呼んであいさつする:「おはよう」だけでなく「〇〇さん、おはよう!」と名前を呼ぶ。これだけで、相手は「自分を大切に思ってくれている」と感じます。
- 小さな手伝いを自分からする:係の仕事で重い荷物を運んでいる子がいたら「手伝おうか?」と声をかける。
- 相手のいいところを言葉にする:「今日のその服、似合ってるね」「さっきの発表、かっこよかったよ」と、心の中で思ったことを素直に伝える。
- 話を聞くときにうなずく:相手の話を聞くとき、スマホやマンガを見ずに、相手の目を見て「うん、うん」とうなずく。
どれも、あなたが誰かにされたら「この人、いい人だな」と思うことばかりですよね。これを、今日からあなたの方から先にやってみるのです。
「見返り」を求めないのが、魔法を成功させるコツ
ここで一つだけ、大切な約束があります。それは、「お返しを期待しないこと」です。
「これをやってあげたんだから、明日は私にも何かしてよね」という気持ちが少しでも見えてしまうと、相手は「何か裏があるのかな?」と身構えてしまいます。これでは魔法はかかりません。
大切なのは、あなたが心から「相手が喜んでくれたら嬉しいな」と思って行動することです。統計学のデータでも、見返りを求めずに親切を重ねる人ほど、結果として多くの人から信頼され、長く愛されるということがわかっています。あなたが種をまいた親切は、すぐに返ってこなくても、必ず誰かが見ていてくれます。そして、巡り巡って、あなたが本当に困ったときに、大きな力となって返ってくるのです。
明日からできる「小さな魔法」の練習
いきなり大きなことをしようとしなくて大丈夫です。まずは、明日学校に行ったら、こんなことにチャレンジしてみましょう。
- 教室に入るとき、一番近くにいる人に笑顔であいさつをする。
- 友達が落とし物をしたら、何も言わずに拾って渡してあげる。
- 給食当番のとき、配膳を待っている友達に「どうぞ」と声をかける。
これだけで、あなたの周りの空気は少しずつ変わっていきます。あなたが「自分がされて嬉しいこと」を誰かにプレゼントすると、その相手もまた、誰かに同じことをしたくなるはずです。そうやって、あなたの親切はクラス中に広がっていきます。
「クラスでいちばん好かれる人」とは、特別な才能がある人ではありません。「誰かを喜ばせることで、自分も幸せになれる人」のことなのです。
さあ、明日の朝、誰にどんなプレゼントを届けますか? あなたの小さな魔法が、クラスを温かい場所にする第一歩になりますよ。