勝っても負けても相手を称える
ドッジボール大会や、休み時間のカードゲーム。勝負事には、必ず「勝ち」と「負け」があります。勝ったときはうれしいし、負けたときは悔しいですよね。その気持ちは、とっても大切です。でも、もしあなたが「勝っても負けても、相手をほめることができる人」だったらどうでしょう?
実は、まわりから「この人と一緒にチームを組みたい!」「この人となら、安心して協力できる!」と、無意識に味方を増やしているのは、いつもそんな人なのです。
「おめでとう」が最強の武器になる理由
「ゲーム理論」という、むずかしい言葉があります。これは、人との関わり方を「どうすればお互いに一番いい結果を出せるか」というゲームのように考える学問です。この理論では、「一回きりの勝負」ではなく「何度も続く関係」の中で、相手を大切にすることが、自分にとっても一番得をすると教えています。
たとえば、クラス対抗の体育大会。勝ったチームが負けたチームをバカにしたり、逆に負けたチームがふてくされたりすると、次の勝負では相手も「次は絶対に負かしてやる!」と、トゲトゲした気持ちで挑んできますよね。これでは、お互いに楽しくありません。
でも、勝ったチームが「いい試合だったね、パス回しがすごかったよ!」と言い、負けたチームが「悔しいけど、あのシュートはかっこよかったよ、おめでとう!」と言えたらどうなるでしょうか? 次の勝負も、お互いに「またこの人たちと戦いたい!」という気持ちになります。これが、味方を増やす「協力の魔法」の正体です。
負けたときこそ、相手の「すごさ」を見つける
負けたとき、悔しくて泣きたくなることもありますよね。でも、そんなときこそチャンスです。「勝った相手をほめる」という行動は、あなたの心の広さをみんなに見せる最高の機会だからです。
「くやしい!」という気持ちをグッとこらえて、相手にこう言ってみてください。
- 「さっきの作戦、すごかったね。どうやって考えたの?」
- 「〇〇さんの守り、かたくてなかなか攻められなかったよ。おめでとう!」
- 「次は負けないぞ! いい勝負ができて楽しかった!」
こう言われた相手は、あなたを「ライバルだけど、尊敬できる人」として見るようになります。組織社会学という学問では、これを「信頼の貯金」と呼びます。相手を認める言葉をかけるたびに、あなたの「信頼」という銀行にコインが貯まっていくのです。この貯金があれば、あなたが困ったときや、新しい企画をやりたいときに、みんなが喜んで助けてくれるようになります。
勝ったときほど「謙虚」になる魔法
勝ったときも同じです。勝ったとき、つい天狗になって「僕たちの方が強かったでしょ!」と言ってしまうと、相手は「もう二度と協力したくない」と感じてしまいます。これでは、味方が一人減ってしまいます。
勝ったときこそ、相手への「リスペクト(尊敬)」を言葉にしましょう。
- 「相手チームが強かったから、最後まで気が抜けなかったよ。いい試合をありがとう!」
- 「〇〇さんのあのプレー、危なかったよ! すごかったね」
- 「次はもっといい試合ができるように、また練習しよう!」
勝った側が相手を称えることで、負けた側の気持ちも救われます。すると、クラス全体が「勝敗に関係なく、みんなで楽しもう」という空気になります。そんな空気を作れる人は、クラスでいちばん頼りにされるリーダーになれるのです。
明日からできる「称える」トレーニング
では、明日からどんなふうにやっていけばいいでしょうか。まずは、小さな勝負から始めてみましょう。
1. 休み時間のゲームで「ナイスプレー」を探す
カードゲームやボードゲームで遊ぶとき、相手がうまい手を打ったら「今のすごいね!」と声をかけてみてください。勝っても負けても、これを言うだけで相手はあなたに好感を持ちます。
2. 係の仕事で「ありがとう」を伝える
係の仕事で、誰かが頑張って準備をしてくれたら「準備してくれてありがとう、おかげで助かったよ」と伝えましょう。これも一種の「相手を称える」行動です。
3. 負けたときは「一番よかったところ」を一つだけ言う
悔しいときこそ、深呼吸して一つだけ相手のいいところを探してみてください。「足が速かったね」「声が出ていたね」なんでもいいです。それだけで、あなたの周りには「この人は負けを認められるかっこいい人だ」という評判が広がります。
勝敗は、あくまでそのときの結果にすぎません。本当に大切なのは、勝負が終わったあとに、相手とどんな関係でいられるかです。
「勝っても負けても、相手を称える」。
この魔法を使えば、あなたはクラスの中で、誰からも信頼される「最強の味方」に囲まれるようになります。明日の休み時間、さっそく誰かの「すごいところ」を見つけて、言葉にしてみてくださいね。きっと、あなたの世界がガラリと変わるはずですよ。