質問は「はい・いいえ」で終わらない内容にする

📖 『なぜか好かれる人の「全方位」コミュニケーション術 〜意識するだけでクラスの空気が変わる50の習慣〜』
ー 第2章:会話を弾ませる「聞き上手」のルール ー
\ 悩める青年へ――明日を変える突破口 /
質問は「はい・いいえ」で終わらない内容にする
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質問は「はい・いいえ」で終わらせない。会話のパスを「つなぐ」技術

部活の休憩中、あるいは休み時間の教室。隣に座ったクラスメイトに、「昨日のテスト、難しかったね」と話しかけたとします。相手が「うん、本当に難しかった」と答えて、そこで会話が途切れてしまった経験はありませんか?

「自分は話すのが苦手だ」と思い込んでいる人の多くが、実はこの「会話のデッドエンド(行き止まり)」を自ら作ってしまっています。会話とは、ボールのキャッチボールです。あなたが投げたボールが「はい」か「いいえ」でしか返せないものだったら、相手はボールを地面に落とすしかありません。これでは、どんなに仲良くなりたい相手でも、心の距離は縮まらないのです。

「閉じた質問」と「開いた質問」の決定的な違い

言語学の分野では、会話をコントロールする質問の形式を大きく二つに分類します。それが「クローズド・クエスチョン(閉じた質問)」と「オープン・クエスチョン(開いた質問)」です。

  • クローズド・クエスチョン:答えが「はい・いいえ」や、事実確認だけで終わる質問。「宿題やった?」「部活楽しい?」「あのアニメ見た?」などがこれに当たります。
  • オープン・クエスチョン:相手が自由に言葉を選んで話せる質問。「どう思う?」「どんなところが良かった?」など、答えの幅が広いものを指します。

もちろん、クローズド・クエスチョンが悪いわけではありません。しかし、関係を深めたい相手に対してこればかりを投げかけると、相手は「尋問されている」あるいは「面接を受けている」ような圧迫感を感じてしまいます。会話を弾ませるためには、意識的に「オープンな質問」を混ぜていく必要があります。

なぜ「オープンな質問」が味方を増やすのか

社会言語学の視点で見ると、人間には「自分の話を聞いてほしい」「自分の意見を尊重されたい」という根源的な欲求があります。これを「ポジティブ・フェイス(自分を肯定してほしいという欲求)」と呼びます。

あなたがオープンな質問を投げかけることは、相手に対して「私はあなたの考えをもっと知りたい」「あなたの感性に興味がある」という強力なサインを送ることになります。つまり、相手の「ポジティブ・フェイス」を満たしてあげているのです。人は、自分の話を面白がって聞いてくれる相手を、無意識のうちに「信頼できる味方」として認識するようになります。

「はい・いいえ」を「プラスアルファ」に変える魔法のフレーズ

では、具体的にどうすればいいのでしょうか。いきなり難しいことを聞く必要はありません。今使っている質問に、少しだけ「プラスアルファ」の情報を付け加えるだけで、会話は劇的に変わります。

例えば、こんなシチュエーションを想像してみてください。

NG例:「今日のお昼、パン食べたの?」

これだと相手は「うん」と答えて終わりです。ここから会話を膨らませるには、相手に「理由」や「感情」を語らせる隙間を作ります。

OK例:「今日のお昼、パンにしたんだね。どうしてそのパンにしたの?

これだけで、「あ、これ新作で気になってたんだよね」とか「時間がなくて一番近かったから」といった、相手の「選択の理由」を引き出すことができます。理由を知ることは、その人の価値観を知ることです。価値観を知れば、共通点も見つかりやすくなります。

会話を弾ませるための「質問の切り口」リスト

相手との会話を深めるために、明日から使える「オープンな質問」の切り口をいくつか紹介します。これらをスマホのメモ帳に書き留めておくだけでも、心の余裕が変わります。

  • 「どうして?」を聞く:「どうしてそう思ったの?」「なぜその部活に入ろうと思ったの?」という質問は、相手の信念やこだわりを引き出します。
  • 「どんなところが?」を聞く:「昨日見た映画、どんなところが一番面白かった?」「この曲のどんなところが好きなの?」と聞くことで、相手の感性にフォーカスできます。
  • 「もし〜だったら?」を聞く:「もし明日一日休みだったら、何したい?」「もし部活のルールを一つ変えられるなら、何を変える?」といった仮定の話は、相手の願望や理想を浮き彫りにします。
  • 「どうやって?」を聞く:「どうやってその勉強法を見つけたの?」「どうやってそんなに速く走れるようになったの?」と聞くと、相手の努力のプロセスを称賛することにつながります。

「質問」は、相手への最高のプレゼント

ここで一つ、大切な注意点があります。質問攻めにしてはいけません。「尋問」と「興味」の境界線は、相手が話している最中にどれだけ共感を示しているか、にあります。

相手が答えてくれたら、まずは「へえ、そうなんだ!」「それは面白いね」と、相手の回答を一度しっかりと受け止めてください。言語学ではこれを「バックチャネル(相槌)」と呼びますが、この相槌があるからこそ、相手は「もっと話してもいいんだ」と安心感を得られます。

質問をすることは、相手の心という宝箱を開けるための鍵を差し出すようなものです。あなたが丁寧に鍵を回せば、相手は自分の中にある大切な思いを少しずつ見せてくれるようになります。そして、自分の内面をさらけ出した相手に対して、人は特別な親近感を抱くものです。

明日、教室で誰かに話しかけるとき。ふと「はい・いいえ」で答えられそうな質問が浮かんだら、心の中で一度だけ深呼吸をしてください。そして、その後に「どうして?」「どんなところが?」という魔法の言葉を付け加えてみてください。

あなたのその小さな工夫が、クラスの空気を変え、気づけばあなたの周りには「あなたの話を聞きたい」という味方が自然と集まってくるはずです。会話は、技術ではありません。相手を大切に思うという「姿勢」が、言葉という形になって表れるものなのです。

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